<今月の表紙>
三吉秀夫・シャープ(株)技術本部・横須賀研究センター主任研究員
むずかしく言えば「マルチモーダル・インターフェース開発」

2002年1月号掲載(※記事全文)
 取材という活動は、コミュニケーションの点から見ると、実に多くの情報を凝縮して得ようという欲張りな行為になるのだろう。もちろん、文字にできる「話し」の部分も大事であるが、声のトーンとか表情、とくに目の動きや視線の強弱、身振りも欠かせない情報だ。インタビューを終えた瞬間、緊張感から解放された相手の表情などは非常においしい情報源である。要するに、言葉を聞いてはいるが、表情や身振りなどから、発していない「言葉」を読み取ろうとしているわけだ。誰でも話しているとき、相手の表情から「機嫌が悪そうだな」「こんなことを言っても大丈夫だろうか」なんて読み取っているのと同じことだと考えてもらっていい。とくに相手から「聞き出したい」わけだから、カギは「相づち」だ。話しが弾んだり、逆に不快感を与えたりもする大きな要素になる。
 この相づちをし、しゃべるコンピュータがRWCのシャープ研究室で開発されている。しかも身振りもあるというからすごい。さっそく対面した。画面に登場するのは「MAICO」(まいこ)さんというCGで創られた犬好きの若い女性(そうプロフィールにはあった)。
 「ええ」とか言いながら首を傾けたり、「申し訳ございません」と頭を下げたり、ともかく表情と動きがある。声は合成ではなく、声優の話し言葉だから、ますます違和感がない。思わず口説きたくなる? ほど話しやすい。
 「人間の実データを分析し、相づちを打つ周期を分析して、タイミングを力学系モデルで処理しています」と三吉主任研究員。「一人一人違うもので、個性のようなもの。現在のMAICOは一人のパターンをモデルにしています」と中沢主事。「今後はシステム側からコミュニケーションをリードしていけたら、面白いなと考えています」と向井主事。
 非言語系を処理し、あたかも人間がやっているように処理する機能を「マルチモーダル」という。現在、ここまで来た。「当初は6名のプロジェクトでした」と10年前を振り返るのは最初からサポートしている綿貫女史。
 この成果をもとに、社内外へ実用提案していくという。MAICOに友人ができるのはいつだろうか。
(吉井 勇=本誌編集長)

(※記事全文)

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