<今月の表紙>
茨木伸樹・(株)東芝 ディスプレイ・部品材料社液晶開発センター所長・工学博士
東芝の有機ELは「高分子有機膜」を採用

2002年3月号掲載(※記事全文)
 注目を集める新たなディスプレイ技術の有機EL。この分野で「東芝」の知名度は低かった。「1999年ころから本格的に取り組み始めた」と茨木伸樹・液晶開発センター所長は話す。それが2001年6月を境に、有力トップ集団に踊り出たのである。ディスプレイ技術者が大挙して集まる国際学会のSIDで発表し、国内では10月のCEATECイベントでデビューした。
 この早いキャッチアップには、一つの必然ともいうべき理由がある。東芝といえば「大型液晶ディスプレイの低温ポリシリコンTFTの量産化」に成功した唯一の企業で、その実力をフルに活かしているからだ。茨木所長の所属名をもう一度確認してもらいたい。液晶開発センターとなっている、ここを見落とさないでいただきたい。「東芝のコアコンピタンスであるポリシリTFT技術を活かすという点では有機ELが最高の分野です」
 有機ELは、液晶と違って自ら発光する自発光型であり、小型軽量、低消費電力化に優れ、また応答速度が速いため動画表示に強く、あわせ持つ広い視野角から、「21世紀ディスプレイの本命」と言われている。
 東芝の有機ELには、もう一つ特徴がある。高分子有機膜を採用した点だ。先行する多くの有機ELは低分子有機膜を使っているが、「材料のポテンシャルも大きく、高精細化、大型化に適し、生産性も期待できることから高分子を採用した」と茨木所長。この高い生産性のカギを握るのはインクジェット・プリンティング技術で、これも独自開発したと茨木所長は話す。
 「2002年度中の製品化」で開発は進んでいるが、20インチ級の大型化は2005年までには実現できると話す。「日々データが進化し、技術者全員、意欲満々ですよ」
(吉井 勇=本誌編集長)



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