<今月の表紙>
ルジェロ・ミケレット・京都大学大学院工学研究科材料科学専攻助手・理学博士
光ファイバーとナノ技術で極小LED発光を確認用

2002年4月号掲載(※記事全文)
 ミケレット博士は来日8年、達者な日本語、Eメールも"漢字対応"だ。イタリアのトリノ育ち。そう、カルチョの国。彼のワールドカップ優勝予想は、前回王者のフランスだ。
 さて、本題に入ろう。ミケレット博士は表面科学を専門とし、かのボローニャ大学で理学博士号を修めた。世界最古の大学、1088年開学。「京大より古いけど、建物はきれいだね」。
 ミケレット博士は「近接場光学顕微鏡」の開発で、表面科学技術賞を2000年に受賞している。近接場光とは、入射光の波長よりずっと小さな半径の球に当てると、散乱光のほか、球の表面にまとわりつくような薄い膜の光が発生する。これを近接場光というのだそうだ。そこで、微細中の微細な光ファイバをさらに尖らせた「ファイバプローブ」という棒状のもので、この散乱光のパワー分布を測定すれば近接場光の空間分布がわかる。この形は近接場光を生じさせた元の物体の形であるという原理が、「近接場光学顕微鏡」だ。
 ミケレット博士曰く。「この顕微鏡で生きたままのニューロンを見ました」。
 光ファイバの先端加工技術に左右される。光ファイバの先端を金属でより細くするのだが、ナノ単位で、「非常に安く」製作することに成功したのである。そして、この近接場光学顕微鏡を、韓国ソウル市のハンヤン大学の李教授が開発した導電性ポリマーを表面に塗布したガラス基板に近づけたら、ナノ単位の空間でも発光ダイオードを生み出したという。イメージがピンとこない筆者に、「DVDをドットではなく、この技術でアトム(原子)にすれば10円玉程度で映画を満喫できますよ」と例えてくれた。「いつ頃できますか」と勇んで聞いたら、「さあ、いつかな?」。さすがボローニャ大卒、時間の単位が違う。
(吉井 勇=本誌編集長)


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