<今月の表紙>
河合英明・凸版印刷(株)取締役、生産・技術・研究本部長兼新商品事業推進本部担当
紙と電子の融合「電子ペーパー」に王手、カラー化の改良と量産体制で本格商用化へ

2002年5月号掲載(※記事全文)
 ディスプレイが身近になった。ケータイの画面はその最たるものだろう。ユーザーの要望は、太陽光にも負けず、大きな画面で、軽くて、消費電力が少なく、どこでも気軽に本や新聞を読むような感覚、といういうことに尽きる。
 アメリカのベンチャー企業、イー・インク社(E Ink)が興味ある開発をした。微細なマイクロカプセル内部に詰めた白い酸化チタンの粒子と、黒いカーボンブラックの粒子を、上下に配置した電極でどちらかを引き寄せ、パターンを形作るという「マイクロカプセル型電気泳動方式」である。これがeインク、電子インクというものだ。
 昨年春、総合研究所長となった河合英明取締役はこのモデルをたまたま目にしたという。
 「その瞬間、Somethingを感じたんですね。すぐに社内を説得、アメリカに飛び、提携の契約をしてきました。相手先も驚く電光石火でした」
 "サムシング"を与えたのは何か。「漢字を表示する際、液晶画面では斜めの線がガクガクとなってしまうが、これは非常に滑らかに表示できて、紙に印刷したように見える」ことをあげた。写真(机上のネームカード、手に持つのは紙)でもわかるように紙のように薄く、しかも自発光方式でないため外光に左右されず、フラッシュ撮影でも文字がしっかりと写っている(写真手前)。まさに「電子ペーパー」の称号が相応しい。イー・インク社では「The Last Book」(究極の本)と展望する。
 このプロジェクトでは、凸版印刷が得意とするカラーフィルタ技術と量産技術を用いて電子ペーパーの本格商用をねらう。「6月にアメリカで開催される学会(SID)で改良カラーサンプルを発表し、来春にはモノクロで商用出荷を始めたい」と河合取締役。
(吉井 勇=本誌編集長)


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