<今月の表紙>
佐佐將行・2002年FIFAワールドカップ日本組織委員会・情報通信専門委員会委員長代行
松信章一・元日本ビクター(株)ワールドカップ推進室次長
大場省介・ソニーPCL(株)クリエイト事業部映像ソフトセンター担当部長
スタジアム最高の席と同じ観戦視野性

2002年9月号掲載(※記事全文)

 筆者の手元に、韓国と熾烈な招致合戦を繰り広げた1995年当時、ワールドカップ日本開催をアピールした「開催提案書」のサマリーがある。「最大にして、最高の大会」をスローガンに、その招致策の目玉として「バーチャルスタジアム」があった。立体ハイビジョンで、しかもリアルスケールという稀有壮大な提案であった。
 2002年大会において、この提案の流れは総務省による「サテライトスタジアム」という日韓高速衛星通信実験として展開された。「ハイビジョンの高画質映像をヨコに3面つなぎ、ピッチ全体を一望に映し出すもので、メガビジョンと名付けています」と、招致時代からIT関連分野をリードしてきた佐佐將行・JAWOC情報通信専門委員会委員長代行は話す。
 今回の実験は、横浜にあるIMC(国際メディアセンター)と都内2カ所で関係者に公開され、一般市民には準決勝「ブラジル×トルコ」戦が横浜・山下公園で上映された。「ピッチ全体がそのまま見渡せるので、ポジショニングが手にとるようにわかり、これまでのテレビ的映像とは違う、新しい映像観戦の手法だ」との声が届いたという。
 ヨコ16m、タテ3m。250インチ・ハイビジョン3面分で、9:48という超横長画面だ。韓国の蔚山と仁川、日本の埼玉、横浜の計4スタジアムに専用カメラを設置し、ハイビジョン画像の3面分を155Mbpsの高速衛星通信で公開会場と結んだ。システム開発では、1レンズでハイビジョン3面を撮影できる専用レンズをソニーが担当。その開発から当日の撮影までをやってのけたのが大場省三・映像ソフトセンター担当部長。ヨコ3面をきれいにつなげるプロジェクター上映システムは日本ビクター。松信章一・元ワールドカップ推進室次長は、多くの市民の方に見ていただきたいと山下公園での公開を支えた。
 2006年ドイツ大会に受け継がれるか。「神の手」に委ねられた。
(吉井 勇=本誌編集長))


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