| 米国イーストマン・コダック社は、3月、アメリカ・ラスベガスで開催された映画関係者のイベント「ShoWest」において、同社が開発している「コダック デジタルシネマ システム」のエンドツーエンドのソリューションを、プロトタイプのシステムを使って初めてデモンストレーションを行った。同デモンストレーションは、4月4日、日本でも行われ、注目を集めた。そこで、来日中のイーストマン・コダック社のGlenn L. Kennelエンターテインメントイメージング事業部デジタルシネマ・プログラムマネージャーにお話をうかがった。 |
新しい収入源を見出す
事業プランを提案
イーストマン・コダック社が動画技術研究拠点となるコダック・イメージング・テクノロジー・センター(ロサンゼルス)において、コダック・デジタルシネマ・システム(プロトタイプ)のデモを開始した記事を、弊誌で掲載したのが昨年の今ごろであった。あれから約1年、エンドツーエンドのソリューションによるデモンストレーションを行うまでになった。この進捗の早さには目を見張る。しかも、「2003年にはデジタルシネマ・システムを事業として立ち上げ、その拠点となる事業部門『コダック・デジタルシネマ・サービス(KDCS)』を、今年末までに組織化します」とイーストマン・コダック社エンターテインメントイメージング事業部デジタルシネマ・プログラムマネージャーのグレン・ケネル氏は話す。
KDCSが行うサービスには、劇場主に対するシステムの設置・導入、サポートなどのサービス、コンテンツ・サプライヤーなどに対する劇場へのデジタルプリントの配信サービスなどがある。
「われわれは、お客さまが現在の事業を補完しながら、新しい収益源を見出せる事業展開、つまり、利点の共有と投資負担のシェアを考えています。デジタル化することで浮くコストを、投資に回すというアイデアです。例えば、これまで映画配給会社がラボに発注するプリント代にかかっていたコストは、デジタル化で必要なくなります。このコスト分を劇場側の投資に回します」とケネル・マネージャー。ビジネスとして最も重要な話だ。
デジタルシネマ・システムの価格はどれくらいになるのだろうか。
「目標は、トータルシステムで1スクリーンあたり10万米ドルです。現段階では大変難しいことですが、価格はビジネスにとって重要なポイント。目標額まで早急に近づけたいと考えています」と断言する。
コンテンツのトータル管理で
訴求力をアップ
では、デジタルシネマ・システムとはいかなるものなのか。実際に劇場に設置されるデジタルシネマ・システムは、デジタルシネマ・プロジェクターとデジタルシネマ・オペレーティング・システム(COS)から成る。
QXGAの解像度を持つデジタルシネマ・プロジェクターは、日本ビクター(株)との共同開発。コダックはプロセッシングユニットを担当しているが、そのユニットにはカラーマネージメント技術、暗号解読キーによる動作サポート、コピーが行われた場所と時間を後から特定できる透かし技術など、海賊版防止対策が詰まっている。
COSは、デジタルコンテンツの受信と安全な保管、スクリーンへの確実で簡単な配信を可能にする。さらに、「COSはデジタルフォーマット化された広告、映画本編、予告編などのローディング、スケジューリング、制御、再生等の管理をトータルに劇場主サイドが行えるシステムです。シネマコンプレックスのような複数のスクリーン上映にも対応でき、予告編や広告、デジタルポスターをロビーのモニターやディスプレイに上映して、容易に訴求力をアップさせることができます。KDCSがCOSのサポートをします」と、新しい収入源の可能性を語った。ほかにCOS活用のメリットとして、劇場の稼動率を上げるために、コンサートやブロードウェイタイプのミュージカル、昔懐かしい映画の上映など、新しい活用ができるという。
日本でも東映が、衛星でコンテンツを配信する実験をしたり、全国4カ所にデジタルシネマ「Tジョイ」をオープンさせるなど、デジタルシネマへの取り組みが行われている。「これからはデジタルシネマのスタンダード化が必須です。いまハリウッドでもスタンダード化で大きな前進をみています」(ケネル・マネージャー)
|
|