<シリーズ・地方民放の地上デジタル“戦略方程式”(第3回−3)>
ABN(長野朝日放送)
大成功「ふるさとCM大賞」応募全作品を常時動画配信

2002年4月号掲載(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい
 長野県の面積は、首都圏1都3県の広さを持つ全国4番目。この県土に120市町村があるという。そのうち95市町村が参加した地元のCM大賞が大好評。放送後も応募作品を自由に見てもらえるように、自社ホームページで動画配信を開始した。
(文:吉井 勇=本誌編集長)


番審が激賞した
『ふるさとCM大賞』

 池内紀昭・ABN専務取締役が「目玉番組になりますよ」と力説するのが、長野県下120の市町村に呼びかけ、およそ1年がかりで取り組んだ『ABNふるさとCM大賞NAGANO』である。地元の中高生や町のビデオクラブの人たちが手づくりした"ふるさと"自慢のCMコンテストで、第1回となる今回は95市町村が参加したものだ。
 集まった作品の出来栄えは、審査委員長のミステリー作家、内田康夫氏が講評で、「たとえ素人でもやる気、情熱があれば人の心を打つ」と感激したほど。池内専務も「番組審議会で、久しぶりに激賞されました」と喜ぶ。
 そもそものきっかけは、同じANN系列の山形テレビが始めていたことにあった。そして、「全市町村に対して平均15回にもなる電話依頼と、山の奥にある小さな村も訪ねるなど、最低一度は足を運びました」と、かつてないほどの訪問作戦を進めたこともあって、予想を越える95市町村から応募があったという。
 この番組の成功から、自局で取り組むだけでなく、ANN系列全体で取り組むことで全国放送にもなると考え、テレビ朝日へレポート報告し、系列社長会でも実施を呼びかけた。その結果、9局が動き出したそうだ。

夏の高校野球をはじめ
4番組の動画配信を経験

 「デジタル放送時代は地元密着の番組、コンテンツが大事だと言われるが、金と人をかけるだけの余力を地方局は持っていない。今回のCM大賞は地域密着で、しかも金をかけずにできるという要件を満たしている」と訴える池内専務は、この応募CM作品を常時公開できるように、1月上旬から自社ホームページで動画配信を開始した。
 最終審査会の様子を盛り込んだ番組は、今年1月6日(日)の午後4時から1時間25分枠で放送された。ちなみに大賞を獲得した白馬村のCMは年間365回無料放送され、その他の受賞作も50回、30回と放送される。
 このホームページ動画配信を担当したのが、メディア企画室の油井保・メディア企画室長と、中村あゆみ・メディア企画室主任だ。「放送を終えたもの、見逃したくないもの、こうした番組を広報サービスと位置づけて考えており、現在は無料サービス」という。
 その他、これまでの動画配信の経験について油井室長は、夏の高校野球県予選のニュースや、テレビ朝日の小学生30人31脚競走の県予選、またサイトウ・キネン・フェスティバル松本、ローカル特番の6時間生番組『みつめて! 信州生テレビ』などで行ってきたという。この軌跡をみると、ABNの動画配信アプローチは「初めに番組ありき」であることがわかる。

ケータイのホームページサービス
有料サービスの切り札!?

 現在、ホームページ上で案内する動画配信は、ふるさとCM大賞の他、バーチャル住宅展示場「@HOME信州」で紹介している『ABNステーション』番組内のマンション事情(約5分)である。
 当然、経営陣は「何とか金にできるビジネスモデルはないか」と期待する。それに対して、中村主任が一番課金しやすいと考えるのは、ケータイへのホームページサービスの利用である。
 そうした思惑をはらみながら、昨年10月からサービスを開始したケータイへの情報サービスでは、将来の有料化、またはスポンサー獲得を目指して観光スポット案内を用意したという。ただ現在の人気番組は、ニュース、アナウンサーのひとりごと、映画鑑賞券のプレゼントだそうだ。とはいえ、「課金のシステムも確立していますし、課金を意識させずにできるのは、やはりケータイへのサービスでしょう」と読んでいる。
 こうした動画配信、ホームページサービスなどを通して、双方向機能を体験的に習得し、デジタル放送ならではの番組づくりにつながる効果を期待できるのではないか。テレビ電波による番組開発は、ある程度見えてはいるが、課題となるのが地域情報や双方向番組、新たな事業をどう手がけるかだろう。しかし、この答案はまだ書けていない。


(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい

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