福岡ドーム、ホークスタウンに隣接して建つRKB毎日放送の局舎。博多湾を望む見晴らしの良さは全国有数だろう。
RKB毎日放送は、デジタル事業を見通すために「iビジネス開発室」を2000年2月に発足させた。それから約2年の間にWebサイト、ケータイ、ストリーミング動画配信、動画広告、番組連動ケータイサービスなど多彩に取り組んでいる。
そこで、iビジネス開発室生え抜き(とはいえ2年ほどだが)の久保敦氏に、こうした取り組みのねらい、成果を聞いた。
(文:吉井 勇・本誌編集長) |
「iビジネス開発室」の名称
IT、Internet、Interactive……
セクション名の「iビジネス開発室」の由来から聞いた。それについて久保敦・RKB毎日放送iビジネス開発室主査は次のように話す。
「変わった名前でしょう、よく聞かれます。名付け親は山本会長です。会長曰く、放送にとって新しい技術としてのIT技術であり、Internetでもあり、Interactiveの双方向性、そして自立のIdentityなど。実に多くの意味を『i』という文字に込めてみたということです」
スタート当初は渡辺室長と久保氏の2人体制だった(現在は社員3名と外部スタッフ約3名と夜間アルバイト体制)。まず、彼ら2人が考えた中心課題は、データ放送とストリーミングであった。室の発足が2000年2月であったにもかかわらず、ニュースの動画配信スタートが4月であったことからも十分にうかがうことができる。
そのあたりの歩みを整理すると、1999年11月にホームページを立ち上げ、2000年2月のiビジネス開発室発足、4月のニュース動画配信、5月にはiモードへの配信、7月にEZWEBというように、インターネット系の体制を整えたのである。その後、2000年9月には「iフィッシュ」サービス、2001年6月にテレビショッピング番組『どんどんショッピング』が始まり、8月からは日曜朝のバラエティ番組『happy*ハッピー』が、インターネットで番組ファン会員クラブを組織したコミュニティづくりをするというように多彩だ。
今後の課題はインターフェイス
テレビ番組とケータイの連動に挑む
積極的な取り組みで何を目指すのか。久保氏は「テレビのこれからの使命であるインタラクティブは、インターフェイスの問題が重要だと考えています。2006年からデジタル放送を始めますが、インターフェイスデザインをどう考えるか。テレビの場合リモコンになるわけですが、画面と操作性をどうデザインするか。その点でNHKのソルトレーク五輪のデータ放送では、非常に刺激を受けました。データ放送のアイコンが画面上で流れている。私には流れてくるデータを掴む、そんな印象でした」と語る。
久保氏の言うインターフェイスの問題は大きい。判で押したように「テレビはリモコン」と思いがちだが、久保氏の室では違うアプローチを考えたのである。
それはテレビ番組とケータイの連携活用だ。テレビショッピング番組の『どんどんショッピング』にiモードを連動させ、ケータイからも商品を購入できるサービスを今年3月から開始した。ユーザーはiモードのRKBサイトにアクセスし、登録することでドコモからIDが発行される。2回目からはこのIDで購入し、支払いは代引き。「申し込みが電話よりも格段にやりやすくなるほか、次回放送までiモードのサイトに商品が写真付きで表示されているため、放送後も気軽にショッピングしてもらえるわけです」と、新しいインターフェイスとしての可能性を話す。
ビジネスモデルとしての挑戦
ニュース配信で動画CM
テレビ番組とインターネットによるサイトとの連動は、情報端末としてブラウザフォンを巻き込みながら新しいトライを重ねているが、もう一つ注目したい取り組みが始まっている。それはニュースの動画配信で、動画CMの実験を行ったのである。
「デジタルコンテンツの収入は、有料課金かCMなどによる無料配信のどちらか。放送局ですから無料を追及したい。そうしたとき、大学の産学共同のベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)に関連して佐賀大学生の設立したオプティム社が開発する動画広告システムを実験することになったわけです。オプティムのシステムは、バッファリングの時間にCMを流すという普遍性があること。もう一つは、テレビの視聴習慣からCM時間は案外ホッとする息継ぎのような役割があるので、ブロードバンドになるとこうした時間帯も必要かと考えたわけです」と久保氏。
2月から始めたオプティムとの共同実験では「動画CMを出していますが、苦情は1件もありません。どれだけの数を押し上げてくれるか。しっかりしたクライアントのCMがあると、不思議なものでページビューが増えるんですよ」と欲張る。
第3世代ケータイ「FOMA」による動画番組の配信も、間もなく始まるという。さらに、NTTブロードバンドと組んで釣番組と連動した新規の情報提供サービスも用意されているそうだ。ゾクゾク、ワクワクするiビジネスの開発モデルがゾクゾク登場だ。
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