<特集 ケーブルテレビ勝ち残り戦略>
NCTAレポート
米国のコンベンションビジネス、「テロと共に去りぬ」

2002年7月号掲載(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい
 2002年5月5日−8日の会期で第51回NCTA(National Cable & Telecommunications Association)大会は、ニューオーリンズのコンベンションセンターで華々しく開催された、と書きたいところだが、この10年間でもっとも「静か」な大会だった。いかに会場がデカイとはいえ、あちこちに空きスペースができ、寂しい限りだった。「9・11」の影響がないといえばウソになるが、それにしても、巨大な休止符が打たれたことはたしかだ。企業の出展は200社強と振るわない。売るものがないといえば、それまでだが……。さて、それでは、駆け足で「Cable 2002」会場を見てまわろう。
(文:天野昭=本誌発行人)


リージョナル衛星配信が激増する

 NCTAの華といえば、永い間、テッド・ターナーとジョン・マローンだったが、ここ5年の間に役者はすっかり変わってしまった。テレコムパワーや株屋の台頭で、なにもかもが、福田官房長官的になってしまった。メディア官僚がのさばるようになった。ビジネスがそれだけ老熟した証でもあろうか。とにかく覇気が感じられない。
 ハードでは、モトローラ、SA、パイオニアの専業メーカーの展示には人が集まっていた。ケーブルモデム、STB、VOD、電話などのシステムのブースに見るべきものがあった。全国衛星番組では、ディスカバリー(HDTV放送を開始)、FOX、NBC、Turner(TBS)などが実力を発揮していた。とくに番組面で大きな変化がみられた。アフガン戦争の報道で話題をさらった「アル・ジャジーラ(半島)」(本拠地:カタール)の登場は、トラポン代金が日本の8から10分の1といわれる安さがものをいった結果だ。
 有り余る衛星トラポンを極安で仕入れて、これまででは考えられないような贅沢な衛星配信が可能になってきた。 
 ローカル向けの映像配信が激増しそうである。ほぼ25年のキャリアのあるケーブル番組ネットワーク(全国版)たちは、廉価なトラポンを利用して、ピンポイントで番組供給を最適なローカルめがけて放射している。  
 日本でいうローカルは、アメリカではRegionalにあたる。州単位ぐらいと思えばいい。
 例えば、Michigan Government Televisionがその好例だ。全国放送では、C-SPANの独壇場だった。しかし、eG/LG(電子政府/電子自治体)という視点でながめれば、Digital Democracy追究のために衛星通信が利用されるご時世になったというわけだ。スポーツ、文化、娯楽など数百のリージョナルめがけて番組が飛んでくるという仕掛けになっている。

初心に戻ろうとするケーブルビジネス

 アメリカのケーブル普及率は70%を超えた。10年かけて60から70に持ち上げた。しかし、その過程で猛烈なメディア投機が行われた。その代表選手が、AT&T Broadbanndだ。TCIのジョン・マローンはうまく売り逃げたが、ババをつかまされたAT&Tは苦しんでいる。ブロードバンドの夢を追うどころではない。
 しかし、アメリカのケーブルビジネスは健全さを保っている。投機に走ることをやめて、「Cable in the classroom」などの地域コミュニティを大切にする公共的プロジェクトの推進に熱心な業界に変身しつつある。  
 「テロと共に去りぬ」とばかり、あのITコンベンション・ブームは完全に消えてしまった。会場には、これまでNCTAが生み出してきたキーワードが「百科事典」のようにぶら下がっていた。
 半世紀の疲れがどっと出たような大会だった。日本人の参加者は、この10年で最低の200人には到底満たない数だったのではないか。
 来年の大会はシカゴで6月8日〜11日に開催される予定だ。あんな馬鹿でかいマコーミックセンターでなんかやらなければいいのに……。

(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい


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