<NM WATCH>
出だし苦戦「FOMA」の底上げねらう「Vライブ」プロジェクト

2002年9月号掲載(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい
 NTTドコモの第3世代ケータイ「FOMA」がサービスを開始しているが、思ったような普及にはなっていない。それどころか、月契約数でも他社に先行を許すなど、iモードの勢いが一段落する中で、ドコモの普及戦略が問われている。そこで、FOMA普及のカギを握るプロジェクトとして「Vライブ」が登場した。推進者の児玉充・NTTドコモ(株)MN事業本部NM企画部MVL企画担当部長に、Vライブ普及の展望を聞いた。
(吉井 勇=本誌編集長))


ゆっくりとした立ち上がり
まずは映像に関心もつ先端層

 パソコンを尻目に、すっかり生活に入り込んだケータイ。その第3世代であるFOMAが上昇してこない。店頭の販売員が「電波エリアが狭いですよ。もっと広がってから」と、親切? に説明してくれる。すでに手にした知人は「なかなか繋がらない」という不満をもらす。
 こうした不評の声を児玉充・NTTドコモ(株)MVL企画担当部長はどう考えるのか。
 「サービスエリアの広さは普及課題の一つですが、かつて通信方式をアナログからデジタルへ変更したときと同じで、ゆっくりと立ち上がるものではないでしょうか」と、答えにくい質問に回答。
 広く普及したケータイは、端末機の種類も、高機能化も著しく、しかも安くて、サービスエリアも広いという最強の布陣。そこへ高速データ通信と動画サービスを"売り"にするFOMAを持ち込もうというわけで、厳しいのは自明だとして「ゆっくりと立ち上がる」と言うのだろうか。
 「すでにご契約いただいている方は先端ユーザーであり、映像を使うことに関心のある方々です。これもテレビ電話ですから、以前の『フェニックスミニ』と同じサービスができるわけです」と着眼を話す。

テレビ電話的なサービスは
新たなコミュニティづくり

 サービスエリアが狭いといった物理層の壁が普及を妨げているのではなく、そもそもFOMAが扱う第3世代サービスのテレビ電話的なものを多くのユーザーは望んでいないのではないか。
 「急速に広がったメール文化に、もっと思いを伝えたいと、写メールのように静止画を送るコミュニケーションに広がってきました。そこから見えてくるのは動画メールでしょう。ケータイがデジカメになり、今度はビデオカメラになるわけです」と、コミュニケーションの発展からテレビ電話的なサービスの必然を説く。
 とはいっても、そう簡単に一直線に進むものではないはずだ。
 「映像といえば、すぐにテレビ的なエンタテインメント系の映像を思い浮かべがちですが、もっと幅広い映像を共有していくことができる手段だと考えています。いつでもどこでも使えるケータイで、映像を流す。こうしたインフラからどんな新しい使い方が生まれるか。ユーザーのみなさんとの相互作用ではないでしょうか」と、十分に意識した答えが返ってきた。
 このアプリケーション開発の相互作用について、ISDN回線のテレビ電話「フェニックスミニ」を全戸に導入した福島県・葛尾村を例に話してくれた。歯医者がペン状の先に付けた小型カメラで映像を家族に送り、治療の進捗を説明するとか、学校では気軽な授業参観として、慢性疾患の患者の通院には、テレビ電話で遠隔診断し、薬も郵便事業で自宅まで運んでくれるという。こうした新たなコミュニティを生むのがテレビ電話であり、FOMAはISDN回線がなくても実現できるものになると強調した。

サーバーを媒介にした
コミュニティという使場づくり

 FOMAの普及には、やはりマーケットが映像を使うことに慣れる必要がある。それをにらんだ「Vライブ」の試行サービスが5月から始まり、来春の本格スタートを目指す。このVライブには、会員制によるCUGサイトと、オープンサイトの2種がある。簡単な監視モニタリングから、ケータイ放送局のような個人放送局も十分にできる。「これはテレビ電話的でありながら、テレビ電話ではできなかった活用ではないか」と話す。さらに、一度に8人が参加できる多地点ビデオチャットのモニター実験も現在行っている。
 FOMAの出だし苦戦とはいえ、「コミュニティという使場(しば)の中でどんどん使い方を生み出してもらえれば」と期待する児玉担当部長。
 こうしたコミュニティは、地縁や血縁とは違い、新しい相互の関係を、映像情報を蓄積する「サーバー」が媒介するのではないか。これまでのメールから一歩先に進み、自分の映像を蓄積してコミュニケーションする時代を引き出したいというねらいだ。
 その意図は十分にわかるが、そうなるにはいみじくも言ったように「時間がかかる」。それでは、現在求められている事業のスピード感からいうと「時間がかかりすぎる」ことにはならないか、と感じてしまう。それはあまりにも性急すぎるのだろうか。

(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい


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