広域連携も視野に入れる
2つのコミュニティチャンネルを含めて27チャンネルの映像サービス、VoIP、音声告知放送の3つのサービスで月額、たったの2,000円。ほぼ100%に限りなく近い世帯と公共施設にこれらのサービスが普及している町、それが島根県大原郡大東町だ。もちろん、インターネットサービスもある。月額3,000円という格安の料金設定も手伝って、開局から2ヶ月余で1,100世帯の加入があり、これからの伸びが期待されている。
ケーブルテレビ局によるVoIPは、いままさに全国で展開されようとしているが、大東町のような自治体型も着々と増えている。30年の歴史があるMPISと似ているが、インターネットサービスやVoIPが付加されているところが大いに違う。和田山町(兵庫県)、蒲江町(大分県)、飯山市(長野県)ですでに、大東町型のサービスが実施されている。いずれも農村型といっていい。
「有線放送の更新、難視聴地域の解消、広域ネットワーク構築への貢献、映像アーカイブ、コミュニティチャンネルによる行政情報の公開・提供、そしてインターネット環境の整備とインターネット教育の推進、といった点が今回の大東町民ケーブルの事業目的です。これまで、有線放送(電話)、大小15の共聴組合による難視聴解消サービスなどがありましたが、これらの更新を含めて、一挙に最新のインターネットサービスやVoIPなどが可能となるような施設構築が実現したわけです」(安原重隆・大東町民ケーブルセンターセンター長)
「この地域ではADSLの出番はない」
このような最新のシステム構築が推進された背景には、まず井田徳義・大東町長の強烈なリーダーシップがある。また、この雲南地域の中核自治体である大東町では、早くからインターネット教育や、IT教育に取り組んできた歴史と実績がある。さらに、今後進行するであろう町村合併や、県都・松江市などとの広域連携の流れも無視できない。
大東町民ケーブルはいわゆる地域CATV網ではあるが、南北2つの光ループを基幹に縦横に光ケーブルが張られている、最先端の情報通信網でもある。
「私は通信担当ということで、常駐していますが、これだけの最新ネットワークになると、そのサポート体制面でも手を抜けません。安心して利用できるためには物理面でのセキュリティとプライバシーを守っていくセキュリティなど、高度な専門ノウハウが求められます。住友電工さん、ブロードネットマックスさん、沖電気さんなどの一流の技術企業などにバックアップしてもらっているので、安心しています」(星野俊彦・大東町民ケーブル通信担当)
これまでの地域でのテレコムといえば、NTTが必ず前面に出てきていたが、今回は主要プレーヤーの中に名前がない。星野さんが微笑しながら言う。
「この地域ではADSLの出番はありません」
「なにしろインターネットサービスを除けば、スタート時からほぼ100%加入なので、いわゆる営業活動がいりません。赤字にならないように注意しながら、コミュニティ情報サービスの向上に専念できるのがありがたいですね。VoIPは域内ならかけ放題。域外通話も早晩可能になるでしょう」(安原氏)
周辺自治体を含めて視察が絶えないという。風光明媚で人情細やかな大東町。一つの名物が増えたことはたしかだ。
(天野 昭=本誌発行人)
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