今年の阪神、星野采配で例年以上の「春の異変」だった。人気球団阪神の戦いぶり、関西エリア以外ではなかなかテレビ中継が見られない。こうしたトラキチたちの不満を解消すべく、甲子園のタイガース戦をストリーミング中継するサービスを、大阪の毎日放送(MBS)が2000年夏から始めた。ネット・トラキチが増殖しているという。
MBSが展開するブロードバンドサービス『BB見聞録』の目玉番組となった阪神タイガースのライブ中継。そこで、担当する小野耕一・メディア開発局デジタルセンター主事に、これまでの経過と現状を聞いた。 |
1995年にホームページを開始
音声ストリーミングは5年目
「負けるから好きやネン」とマゾ的に楽しむトラキチたち。阪神タイガースは関西が誇るコンテンツと言われるが、CSデジタル放送を別にすると、関西エリア以外での地上波テレビではなかなかお目にかかれない。その不満を解消するように登場したのがMBSのBB「阪神タイガース
Live!」で、2000年8月から始まり、今年で3シーズン目を迎えている。
「インターネットに関しての取り組みは、1994年社内に『マルチメディア研究会』を立ち上げてWWWなどの研究を始め、翌95年4月には社のホームページをスタートさせました」と、小野耕一・デジタルセンター主事は取り組み当初を思い出しながら話してくれた。
その後の経緯は以下の通り。
・1997年
センバツ高校野球をMBSサイト上に、デジカメの写真とテキストでページアップ。当初から画像情報にこだわるのは、テレビメディアならではか。
また、ラジオニュースを音声ストリーミングとして日に3回流す。アーカイブにより、いつでも聞けるオンデマンド・サービスを提供。
・1998年
マイクロソフト社Windows Media Playerのリリースに対応して、WEBステーションのパートナーに参加。初めてセンバツを音声ストリーミングで配信。
同時に、コンテンツのラインナップを充実させるべく、ラジオの人気番組『ありがとう浜村淳です』などを加える。ここから本格的なWEBラジオを開始。
・1999年
センバツを映像ストリーミング配信。まだまだ伝送能力が不足で、画面上ではボールがはっきりと見えないレベルだったとか。
・2000年
7月からタイガース戦をストリーミング配信。
・2002年
音声ストリーム番組に、ラジオCM用の20秒素材を利用したCMを初めて実施。
画像へのこだわりと
音声ストリーミングに積極姿勢
画像へのこだわりと、一方ではラジオをベースにした音声ストリーミングへの積極的な対応が、MBSのこれまでの基本的な流れである。
では、タイガースの配信事業について少し詳しく聞いてみよう。
●−− 球団のインターネット配信に対する考えはどのようなものでしたか。
●小野 インターネットには「まずは実験的に」取り組みたい、ということでした。
●−− そのねらいは。
●小野 入場料収入や放送権料などが基本の今の球団運営に加えて、インターネットでは、どんなビジネスが可能なのかを見極めたいということでしょう。ですから、放送局にとっても今までになかった有料配信というスタイルで、あくまで「実験的に」取り組んでいます。
●−− 有料会員などの手応えは。
●小野 料金は、シーズン中いつでも見られる「シーズンチケット」が3,000円、1試合のみが200円で、延べ4,000人ぐらいの利用者がいらっしゃいます。ストリーミング視聴者は東京、神奈川が多く、8割以上が放送エリア外の方です。海外からも多く、全体の8%ぐらいあります。
映像はタイガース・アイから
音声はラジオ中継用を利用
「ストリーミング中継は、メディアとしてプライオリティはまだまだ低いのですが、一方では頼りにされているメディアだと思います」と小野さんは話す。つまり、最後の手段になっているということだ。「仕方がないからMBSサイトで見るか」ではあるものの、確実にファンは増えている。
配信のための映像は、阪神系の映像配信サービス「タイガース・アイ」の映像を、音声はMBSラジオの実況を利用している。映像画面サイズは240×180ピクセルで、54〜180Kbpsのマルチビットレート・エンコードで提供されている。
「現在、収支的にはトントンになってきましたが、テレビ的な金銭感覚からいえば2ケタほど小さい規模。現在は、その裾野をもっと広げることを考えています」と小野さん。
今後の展開の一つとして、関西からの独自コンテンツを提供するために在阪局同士で協力するといったことも視野に入れていきたいという。各局が、阪神タイガースのような関西ならではの魅力ある番組・コンテンツを提供し合うことができれば、良質なブロードバンド向けコンテンツを求めているユーザーのニーズに必ず応えられるはず、と話す。
これまで「関西発」の独自チャンネルづくりは、在阪局の夢として何度か動きがあり、その都度、憂き目を見てきた。今度はブロードバンドという味方を得て、何度目かの「関西発」が始まろうとしている。この事業を軌道に導く「ナニワのIT商魂」をぜひ見せてもらいたい。
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