<総力特集 地上デジタル放送カウントダウン'03年問題>
放送規格問題

2002年12月号掲載(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい
ARIBの標準規格策定は
ほぼ完了したが、
運用規定の一部が継続審議中

 放送はすべての国民がサービスを受けることができる「あまねく」という考え方で成り立っている。そのため「規格」を決め、共通性を確保してから動く。そこがコンピュータや通信の世界と異質なところだ。地上デジタル放送の規格づくりは、最後の詰めの段階を迎えている。
(渡辺 元=月刊ニューメディア編集部)


ほとんど揃う
地上デジタルの標準規格

 (社)電波産業会(ARIB)は昨年5月、地上デジタル放送の標準規格を策定した。ここで決まったARIB標準規格は、映像符号化方式、音声符号化方式、映像と音声の多重化方式、テレビ放送の伝送方式、音声放送の伝送方式、データ放送符号化方式、データ放送の伝送方式、限定受信方式、番組配列情報、テレcビ放送用受信装置、音声放送用受信装置に関するものだ(図表6)。これで地上デジタルの標準規格はほとんど揃った。
 これをもとに、放送事業者で構成される地上デジタル放送標準化協議会(略称:地上P)は、運用規定の検討に入った。

1セグ補完放送の
運用規定決まらず

 この運用規定の一部が、現在、継続審議中になっている。運用規定とは、放送事業者が実際の運用を想定して、標準規格の中から使用するパラメータなどを選定したものだ。送信設備や受信機は、これらの運用規定を参照して設計、開発されるわけだから、運用規定が完全に策定されないと、地上デジタル放送のサービス機能が限定されてしまうという事態が起こりうる。
 継続審議中なのは、1セグ放送サービスで使われる携帯端末向けの運用規定だ。固定端末(据え置き用テレビ)向けの規定はほぼ完了している。
 2003年12月に各社から発売される受信機には、今年7月25日に策定された運用規定の「1.1版」の内容が反映される。そのため、2003年の地上デジタル放送開始時には、地上デジタル対応の携帯端末が市場に出るのは困難な状況だ。



期待集まる1セグ放送。
MPEG-4で進んできた
規格づくりに突然の難題浮上

 運用規定の策定作業で継続審議中なのは、携帯端末向けのデータ放送符号化に関する、(1)簡易動画の符号化、(2)マルチメディアの符号化、(3)著作権保護−−の3点だ。ケータイ受信の放送サービスは地上デジタルの目玉の一つとして、放送事業者からも視聴者からも注目されており、サービス開始に向け、早急な課題の解決を望む声が強い。
(渡辺 元=月刊ニューメディア編集部)


(1)簡易動画の符号化
 当初、簡易動画サービスの技術規格としてMPEG-4を採用する予定だった。ところが、MPEG-4技術のライセンス団体であるMPEG LAが今年7月、MPEG-4を利用した営利事業にライセンス料を課金するという内容に、唐突にライセンス条件を改定した。
 具体的には、インターネットやモバイルサービスでMPEG-4ビデオのエンコードやデコードを行う場合、サービスの加入者1人当たり25セント、または利用1秒当たり0.0333セント(1分間で2セント)を課金するというもの。ただし、サービス提供企業1社当たりの年間総額は100万米ドルを上限にするといった付帯が付いている。
 サービスに対して従量課金するこのようなライセンス条件は、機器にライセンス料が課金されるMPEG-2など、これまで放送事業者が利用してきたものと異なるもの。今のところ、不特定多数の利用者にコンテンツを配信する地上デジタルのサービスが課金対象となるのかどうか、MPEG LAが発表したライセンス条件からは不明確であり、ライセンス料の支払いを要求される可能性も十分あることから確認を急いでいる。

(2)マルチメディアの符号化
 放送事業者は、BSデジタルのデータ放送と同じBMLとECMAScriptの採用を推進している。しかし、通信事業者は従来の携帯電話の仕様変更には反発しており、利害が真っ向から対立している。

(3)著作権保護
 画像などの不正コピー防止策やコンテンツ保護の対策が必要との声があがっている。しかし、携帯端末向けサービスにどのような権利保護が適切か、結論に至っていない。
 この3課題は、どれか一つが欠けても携帯電話向けサービスをスタートできない。MPEG-4のライセンス問題は地上デジタルの事業性にも大きな影響を及ぼすだけに、民放連では対策部会を設置し、放送事業者はMPEG LAとの慎重な交渉を模索しているところだ。マルチメディアの符号化についても、現在、携帯電話事業者と放送事業者の間では水面下で交渉が行われているが、急速な進展は難しいようだ。



(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい

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