NTT西日本の遠隔編集ソリューション「スマート10x」
朝日放送テレビが実証実験で高評価
コロナ禍で番組制作の
オンライン化が加速
森島 コロナ禍の影響により、放送業界は放送コンテンツそのものはもとより、制作業務も大きな変革を余儀なくされました。
平田 制作設備に関しては、10年ほど前からポストプロダクション（収録、編集、アーカイブ）設備のオンライン化を進めていました。それまでの個別設備をどう集約し、どうつないでいくか計画を立て、オンライン化が完了。数年が経過し、場所やハードウェアからの解放に向けて、さらなる課題が見えてきた中でコロナ禍となりました。
森島 制作業務の効率化は、以前から放送業界共通の大きな課題であり、少しずつその解決に向けて準備をしていたのですが、コロナ禍によってよりその動きは加速したと思います。
児玉 そのような課題をお伺いし、ICTで何かお役に立てないか考え、提案させていただいたのが、NGNを活用した「遠隔編集ソリューション」です。導入を進めさせていただくためには、「オフィス環境と同等水準の操作性」「高精細な編集映像を遠隔地から確認する技術」などの確認作業が必要です。そこで朝日放送テレビ様を含む4社にご協力をいただき、2022年4月〜9月、約半年をかけた実証実験を行いました。普段お使いの編集端末と比べて遜色のない操作性・画質を実現できている、実務に活用できるクオリティであるとの評価をいただき、現在は事業化に向けた検討が進んでいます。本当にありがとうございました。
森島 ディレクターたちに余計な負担をかけないためには、編集操作の際に、クラウド環境とオンプレミス環境の間で、画像や映像などの素材の移動を伴わないことが大前提でした。そのような中で今回、実証実験をしてみて、オンプレミス環境と遜色なく利用できて正直驚きました。
児玉 遠隔編集ソリューションには大きく三つの特徴があります。森島様にご体感いただいた、クラウド環境とお客さまのオンプレミス環境とのシームレスな連携もそのひとつです。お客さまの環境にある大容量の映像データをクラウド環境から直接アクセスして編集できるので、映像データをクラウドにあげて、また編集データに戻すといったワークフローは必要なくなります。二つ目は低遅延です。制作現場の方々が編集を行われる中で、操作への追従性、応答の速度は非常に重要です。今回ご提供した環境にはNTT西日本が構築したNGNと呼ばれるネットワークを活用しており、一般的なクラウド環境と比べ、インターネットを経由しないことから低遅延で通信できるというのが特徴です。そして三つ目が料金定額制です。一般的に映像編集業務でクラウドサービスを使用する場合、クラウドとオンプレミス環境との間で大きなデータのやり取りが生じ、その転送量に応じて月々の料金が変動し、予算化しづらいといった声をお聞きします。当社のソリューションではクラウド・回線ともに定額でのご提供を検討しています。
現場とともに考えながら
課題解決のその先へ
平田 映像編集の工程では字幕スーパーの制作にも大きな労力をかけています。コロナ禍によるリスクヘッジのため、一部をリモートワークに変更したところ、担当スタッフからは、移動時間を削減し効率的に働けるといった反応がありました。リモートワークなら、今後もお子さんを育てながら朝、昼、夕方の番組に合わせたコアタイムだけ作業するような、多様な働き方が可能です。そういう意味でも、遠隔編集ソリューションは非常に有効な手段だと感じます。またこれからは少子高齢化が進み、労働人口はどんどん減少していきます。現場は、単純作業に時間をかけたくない状況になるでしょう。素材集め、ラッシュをつなぐといった単純作業の自動化を、クラウドと連携してできないか。今後、NTT西日本グループさんとアイデアを出し合うことで、人材不足などの社会課題も解決していければと思います。
児玉 今回はリモートワークの推進という課題解決に向けて、遠隔編集ソリューションを提供させていただいたのですが、大切なのはその先の未来をともに考えることです。クラウド上でデータをお預かりするだけでなく、そこにどんな付加価値をつけるか検討するのも私たちのミッションです。
独創的で出口も多様な
コンテンツを
森島 ICTでできることって、世の中にたくさんあるはずだと思っています。まだ具体的なプランがあるわけではありませんが、NTT西日本グループさんと協働することで、新しいコンテンツをいろいろな人に見てもらえる出口が増える予感がしています。AIの画像認識技術がさらに発展していけば、映像の世界も広がりを見せていくはずです。最新技術と人間の創造性をかけ合わせ、ワクワクするような映像を作りたいですね。
児玉 今回の朝日放送テレビ様との実証実験では、制作現場にお伺いして、一緒にニーズや課題の洗い出しをさせていただきました。私たちの強みやアセットを駆使したご提案をしながら、一緒になって課題解決の方向性を見いだし、新たなソリューションをともに創っていく。そのような関係性を築けたことが実証実験の一番の成果だと言えるかもしれません。これからも、放送業界の皆さまと、ぜひご一緒させていただきたいです。
NTT西日本公式サイト内 【Smart Life】
https://www.ntt-west.co.jp/business/smart10x/life/
