字幕制作システムの高度多様化提案
朋栄/朋栄アイ・ビー・イー
字幕付きCM普及拡大をトータルラインナップでサポート
字幕付きCMの普及拡大に向けた動きが強まる中、それを支える制作環境の整備は欠かせないピース。株式会社朋栄アイ・ビー・イー(朋栄IBE)では、字幕CM制作ワークフローの各所に効果的な製品を用意。付与率のさらなる向上を積極的にサポートする構えだ。
(レポート:高瀬徹朗・ジャーナリスト)
制作からプレビューまでカバー
株式会社朋栄が提供する字幕関連製品と言えば、制作ソフト「NeON」(最新版はIX/SHV)がよく知られているが、プレイヤーやメタデータ編集アプリ、プロキシトランスコーダなど「かゆいところに手の届く」製品が随所に並ぶ〔図〕。
「NeON-IX/SHV」で制作された字幕ファイルは字幕ラッパー「ICCW-100」でMXFファイルに重畳。現在は納品に不可欠となっているCMメタデータを編集するアプリ「CMM-100」は、ディスク納品・オンライン送稿どちらでも対応可能だ。
納品前確認および納品後の確認・考査では、MXF字幕プレイヤー「IMP-210」を活用。PCのモニタでも中身を再生・確認できる。オプションでHD-SDIモニタでも確認可能だ。
MXF字幕プロキシトランスコーダ「TRS-55」を利用すれば、モニタリングの幅をさらに広げることが可能。字幕が焼き込まれたプロキシ(H.264/MP4)を生成し、Windows10やMacなどの付属プレイヤーでより簡単に完成版を視聴できる。
そのほか、MXF字幕アンラッパー「ICCU-100」を使えば、完成した字幕付きMXFファイルから字幕ファイルのみを抽出することも可能。字幕重畳後に字幕の再編集が必要になった場合でも、字幕のみを一度取り外すことが可能だ。
「制作からプレビューまで、字幕CM制作のワークフローを一通りカバーできています」(朋栄IBE開発第2グループ課長・大菅一秀氏)。こうしたラインナップの強みを生かし、字幕CM制作会社などに積極的なPRをかけているという。
ファイルベースの強みを生かす
ワークフロー全体をフォローするトータルなラインナップを支えるのは、朋栄IBEの持つ「MXFファイル取り扱い」の強みだ。
「HDCAMを軸に取り扱っていた時代と比べ、設備・ワークフローとも大きくハードルが下がった。オンライン送稿が進めば、ハードルはさらに下がることになります」(朋栄IBE副社長・竹松昇氏)。
業界全体の流れで言えば、ポストプロダクションから字幕制作を受注する専門事業者が出てきていることもプラスに働きそうだ。「業界内でエコシステムが整いつつある中、システム的にも各所で導入することで投資も分散する。そうした状況もまた、字幕CM増加に貢献することを期待しています」(竹松氏)。
業界内でのエコシステム構築や設備の分散、またプロキシトランスコーダ―「TRS-55」を活用したモニタリングの柔軟性向上は、コロナ禍において叫ばれる「密の回避」につながる効果も期待できる。「HDCAMデッキやSDIモニタなしで確認できるようになれば、例えば代理店やクライアントが集まって確認作業を行う必要もありません。これもまた、withコロナ時代の新たなワークフローとなるかもしれません」(大菅氏)。
字幕付きCMが増加することで、機能面でも新たなニーズが生まれてくる可能性が高いが、そうしたニーズを柔軟に取り込んでいくのは朋栄の強みのひとつ。「新たな機能性を追求しつつ、ご要望には積極的に対応していきたい」(竹松氏)と、放送のさらなるバリアフリー化に向け強い意気込みを見せている。
@月刊ニューメディア2020年11月号掲載